vol.72
教室住み込みの恩恵で
真夜中に入会されたSさん。
このSさんは化粧品の営業をされている方で
地元世田谷ではとにかく顔が広いお方でした。
入会されてからは
ご友人からお仕事のお客さんまで
本当に幅広く教室を紹介してくださいました。
Sさんが入会したのは
オープンから半年が過ぎた夏のこと。
以前、vol.54でも書きましたが
全財産が5,000円を切った
大ピンチのころでした。
Sさんは週に1回通われていたのですが
来校される日はいつも
午後一番から閉店時間まで
熱心に授業を受けていかれました。
Sさんには本当にお世話になりました。
苦しい時期にたくさんの生徒さんを
紹介してくれただけでなく
出前や食料の差し入れをくださったり・・。
まさに、当時の私の命を繋いでくれた恩人です。
それまで回転寿司しか知らなかった私を
回らないカウンターのお寿司屋さんに
連れて行ってくれたり。
当時独身だった私に、
「先生に紹介したい女性がいるんだけど」
と、お見合いの話を持ってきてくれたり。
Sさんとの思い出話は尽きませんが
本日はその中で1つだけエピソードを。
それは、午前の授業が終わって
スタッフとランチに行ったときのことです。
お店に入ると、Sさんが
お友達とランチをしていました。
「Sさん、こんにちは!」
挨拶をし、お邪魔にならないよう
少し離れた席に座りました。
食事が終わり、会計をします。
すると、お店のマスターが言いました。
「もうSさんよりお会計は頂いていますので大丈夫です」
ドラマで見たやつだー!!
Sさんはすでに退店していたので
すぐに電話をします。
「もしもし?」
いつもより、若干トーンの高い声で出るSさん。
「すみません、Sさん。なんだかご馳走になっちゃって」
「先生、わざわざいいのにー!」
いつか私もSさんのように
「ドラマで見たやつ」を
だれかにしてあげる男になろう
と心に誓ったある日の午後でした。
本日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。
